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2008年12月18日 (木)

岩手のウルシによる地域再生はなるか

火曜日に岩手県滝沢にある森林総研東北支所で、岩手県の浄法寺ウルシに関するシンポジウムがあり、聞きに行ってきました。行きに見えた岩手山、雪がかなり少ない気が・・・F1000565

当日はとても良く晴れて、長者原当たりからは栗駒山、築館付近からは和賀山や夏油スキー場、花巻では早池峰山、盛岡は岩手山や姫神山と遠くまでよく見えました。盛岡も何回か雪が降っているのですがほとんど溶けており、日陰部分に所々残る程度。

最初は森林総研の能城氏による、ウルシの木の同定と歴史です。最も古いウルシの木材は縄文時代草創期(約9千年前)から見つかっているが、植物学的見地からウルシの原産地は中国で、縄文の早い時期に漆液の利用を目的として持ち込まれたのだろう、と言う話。

次は岩手県立大の久保氏による「ウルシを核とした地域作りについて」浄法寺ウルシファンがNPO法人を立ち上げ、子供向けの教育やウルシの里作り、浄法寺ウルシを地域ブランドにできないか、と言うお話でした。

また、現在進んでいる食糧の生産地表示のような制度をウルシにも、ということで、「浄法寺漆認証制度の運用と課題」についてのお話もあり、最後に総合討論が行われました。

難しいのは浄法寺が漆塗り製品ではなく、おもに漆液の産地であると言うこと。天台寺の入り口に「滴生舎」という浄法寺漆液だけを使って浄法寺の職人がつくった食器などの製品は置かれていますが、とにかく数が少ないのです。浄法寺が漆液の日本一の生産地だと言うことを、岩手県人でもほとんど知らないらしい・・・やはりなんと言っても漆製品は石川県の輪島塗り、福島県の会津塗り、多少知っている人で福井県の河和田や青森県の津軽塗り。輪島塗の一部生産者は浄法寺漆を100%使っているところもありますが、ほとんどは浄法寺や茨城県の大子産の漆に中国産の漆液などを混ぜ、価格の安い漆器は中国漆しか使っていないということでした。ブランドは製品となって初めて成立するもので、原料のブランド化はなかなか難しいでしょう。このブログをお読みになっている方でも、「輪島塗」は輪島で塗られていることは知っていても、中の器がどこ産のケヤキか、下地の珪藻土はどこで採取されたか、はたまた漆液はどこの産地かまで知っている方はほとんどいないと思います。

そして、昨年から始まった日光東照宮などの修復事業に「質の良い漆液」として浄法寺漆の90%近くがお買い上げとなったため、生産者は喜んでいますが、その分一般に浄法寺漆が出回らなくなることに・・・すなわち製品としての浄法寺漆の認知度はますます減少すると言うことです。

漆掻きは初期にかぶれがとてもひどく熱が出る人もいるほど危険、また皮膚に染みついた液はなかなかとれずに汚い、漆液自体は高いものの生産性が低いため低所得となってしまい、職人のなり手はほとんどいません。したがって一大産地である浄法寺でも、現在では人家から離れた山の斜面に漆畑がおいやられて、高齢となった職人ではなお生産性が上がらないとのことでした。

今日現在も円高がすすみ、ノーテンキな人々は「海外で買い物が安い」と喜んでいるようですが、こんなときこそ国内旅行、高くても自国製品を購入する努力をしないと内需拡大につながらず、生産者がどんどん減少してしまい、「気がついたら自給率0%」なんてことになってしまうかも?!

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農業」カテゴリの記事

コメント

こんばんは☆
大変興味深いお話をありがとうございます。
こちらを訪問しなければ到底、私などは得られない情報かもしれませんね。お恥ずかしい限りです。

それにしても、残念ですね。自分の住んでいるところが日本一なのをほとんど知らないとは・・・
知っていても、日本人って「謙虚」「謙遜」を良しとしている風潮があるからでしょうか、そういう情報はなかなか広まりませんね。。。

私も内需拡大に一役買わねば!

お恥ずかしい話、私も輪島塗は知っていても、中の器がどこ産のケヤキか、下地の珪藻土はどこで採取されたか、漆液生産地まで全然知りませんでした。
生産者の厳しい現実も始めて知りました。

今の未曾有の経済危機だからこそ、円高で海外にお金を流失するのでなく、内需拡大に一役買い事は大切ですね。
私も国内のやわらぎの湯で内需拡大に貢献?してきます。(笑)

標高480mさん こんにちは。
よいお話を聞かせていただきました。
タイトルにあるご提案‥地域再生にまで導く過程、すごく大変そうですね(泣)
低所得はもちろんですが、一手買い上げで、出回らなくなることなど期待すべき一般流通の問題、一番この辺が苦慮されるかもしれません。伝統や技法を守り続けることの大変さを、まざまざと知りました。

別の話で恐縮ですが、養豚業が少しだけ似通った話になるのでしょうか?ホントに少しだけなんですが‥
大別すると、繁殖と言われる「子出し業」と、育成と言われる「肥育業」の各スタイルが、その昔多かったのですが、採算等による小規模生産者の淘汰や育成環境変化により現状では、二つの分業をすべて執り行う「一貫業」にシフトされ、その規模も大きさを増しています。
このことにより、以前と違うのは
都道府県レベルの生産地が事実上外され、生産者による独自飼養の特徴を貫き活かすことに移行していること、つまり自家産でありますから「‥農場、‥豚」などブランド化して、営業さえも兼ねれば販路拡大もできるということです。手法によっては、市町レベルの地域力も期待することができます。
関連あるというのは、養豚業とは全くの逆サイド?にあるということ、あともうひとつは養豚場といえば独特の悪臭により、その農場は人家を気にして離れた場所に追いやられることでしょうか?
それでも、独自でプラントを創設させ、糞尿による悪臭も放たれない養豚場として地域から理解を受けている生産者も、全国的に見ても少なくないようです。
長文すみませんでした。

オレンジ・みかんさん、こんにちは。
最近は食に関しては、原料にも消費者の関心が行くようになりましたね。でも道具類は、美術品かそれに準ずるようなものでない限りあまり関心が行かないのは事実です。・・よく考えたらわたしだってそれほど神経を使っていない。
日本の中でも岩手県人は奥ゆかしくなかなか自分を出さないそうで、そうした県民性も影響しているのかもしれませんね。

まゆたん、こんにちは。
今頃はやわらぎでぬくぬく、でしょうか。
輪島塗は、私も工房に見学に行って初めて知りました。その店の輪島塗はすごく高いのですが、それでも上塗りだけに浄法寺漆を使い、下地は中国漆だそうです。絶対的な生産量が少ないのだそうです。木地は能登のヒバや山形のケヤキなどを使っているということでした。
私ももっぱら三春をはじめとして国内で一生懸命内需拡大です。

くどうさん、こんにちは。
 国内の生産者は本当に大変だと思います。高品質を要求される一方、低価格の輸入品におされて消費が伸び悩んでいるかと思えば、一部の心ない業者の偽ブランド事件でそのブランド全体の消費が急減していますね。元台湾総領事の金美齢さんがおっしゃったように、「この国は大手術が必要」なのかもしれません。

 ところで、うちのお向かいのおじいちゃまがまさに仔出しから肥育まで、ご夫婦だけで続けられています。糞尿の処理はマメにされているようで、夏のいっとき漂う時期がありますが、ほとんど臭ってきません。むしろ一斉肥入れの春のほうがすごいです。
ここに住むまではおいしい食物がこの臭いから生まれてくることを全く考えないで生活していましたが、今は片時もわすれません。それにしてもおじいちゃまの豚糞で育った枝豆の味の濃いこと!!料亭に出してもひけをとりません。都会の方が高額を出して食べているものを、お菓子や花苗と交換でおいしくいただけるのはこの地域ならではの贅沢です。

ちょうど 藤沢周平の
『うるしの実の実る国』を 読んでいました。
今話題の天地人の後世の お話です。
そこでも 地域再生の糧として、うるしを育てるお話が出てきます。
≪今≫でなく将来に繋げる≪富≫として貧困に耐えながら 先の長いお話なんですけど…。

充分 今に通じるお話として読めます。
今をどうにかすることを優先する 人々と政治家…。確かに今も大事ですが 将来も大切ですよね…
地元の農家さんが育てた 野菜や果物…
虫が多少ついていたってかまわないから 安心な物を食べて暮らせるようになりたいです…

標高480mさん、こんにちは。
おっ!? 枝豆ですか!旨そうなお話ですね。「贅沢な自然を味わう」って、ヤツでしょうか!(嬉)
うるしは山人にとって正直な所‥やっかいもののひとつなのだそうです。
でも、多角的に見ていくことで、開けるものがある!と私は思いますよ。
鳴子のこめプロジェクトのような取組が、求められるのでしょうか?

標高さんの身近にお住まいなのなら、せっかくなので‥肉豚農家の話の続きを、と言うか是非(笑)
近年の畜産農家は大変でした。
環境三法なるものが整備・制定されたことの(堆肥処理)設備投資、その前後に牛のBSE、豚は口蹄疫なる疫病の各風評被害、そんなことから小規模な肉豚や酪農等の畜産農家が自然淘汰されました。最近になり、その後ろを押すように、シカゴ市場穀物相場の続伸は、配合飼料の急騰に姿を変え、見込収入と折り合わずに廃業を余儀なくされたり。最近、相場急降下の報道こそありますが‥
みなさんの食卓の影響からすれば‥カップラーメンやパン類の値上りの影響は記憶に新しいと思います。

豚肉だけの話だけとっても、カナダ産などが売り場に並び、安値もあり面積を広げているじゃないですか?国外に依存を委ねるのは、今回の小麦相場急騰のケースに見られるように非常にリスクがあるのだと思うのです。もちろんあらゆる農産物も含めてそうなのですが。
国内増産を高めることって、生産者の努力と同じくらい消費者の理解も必要なことですよね。そして行政の考え方‥この三者関係作りがうまくいかなければ、おっしゃる通りの大手術になることでしょうね。

ぱせりさん、こんばんは。
その本は題名は聞いたことがあるのですが読んだことがありません。恥ずかしながら、(特に歴史小説は)どうも苦手で(いや、内容が、ではないのですが)「樅の木は残った」も原作を読もうとしたのですが、2頁で熟睡してしまいました
江戸時代には米沢藩をはじめとして、東北でおもに蝋を取るために盛んに漆が植えられ、新潟でも下越では今でも畑が残っています。が、残念ながら西日本のハゼノキのほうが良質な蝋が採れると言う噂が流れ、漆の蝋は売れ行きが悪く東北は財政が苦しくなったと言う経緯があります。
でも、上杉鷹山の備えの心意気は今でも山形に生きていて、山形だったら今でも県内自給自足可能かな、と思います。かなり将来を見据えていたのかも。あ、もちろん宮城も結構イケテルと思いますが。

くどうさん、こんばんは。
大変興味深いお話です。漆は確かに、萌芽が旺盛で、京都府の夜久野町の学芸員の方に見せていただいたのが、1本から120本あまりの根出萌芽再生の写真(つまり一株から伸びた120本の根の先端から幼木が伸びている)を見せられて、すごい生命力だと思いました。それはすなわち畑をどんどん広がっていくので、畑に植えられているもとの作物をダメにしてしまうと言うことらしいです。

食糧の問題は、世界的不況となった今、他の産業や経済問題も含め今までの甘い対応では太刀打ちできなくなるでしょう。最近、与党も野党もこの国の長期的プランを見据えて本当に必要な政策を考えているのか、と心配になります。

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