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2011年9月14日 (水)

漆を使った製蝋工程

漆の実を用いた製蝋工程の話を。

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場所は以前にもお知らせした、岩手県一戸町の「朴舘家」でかつて使われていた母屋です。家屋のほぼ中央に出入り口がありまっすぐ通路が貫通しています。正面から入ると通路左は座敷などがあり、通路右には手前に馬屋と道具部屋、奥に広い土間があり、漆の実を搗く石臼や蒸すための竈が常設されています。

初日は午前中が製蝋の練習、午後は製蝋工程が一般公開されました。翌日は御所野遺跡公園で展示するための映像撮りです。かつて大森貝塚を発見したことで有名なエドワード・モースという動物学者(私もびっくり、考古学者ではなかったんですね)が一戸町の民家を訪れたとき、建物の裏から「ドスンドスン」というものすごい音を聞いて驚き、なにをしているのだろうと入ってみると製蝋の真っ最中であった、と言う場面を再現するためです。

初日の一般公開も岩手のテレビ局が取材に来ていて、この日の夕方のニュースで製蝋の模様が流れていました。

母屋の裏に干された(という想定の)漆の実。

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充分乾燥させた漆の実をこく。

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石または木の臼で漆の実をたたいて、実(外果皮・中果皮)とタネ(内果皮・種子)を分離する。

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これ、リハーサル用で本当は餅の臼だそうです。で、下はホンモノの漆用の臼。どこが違うかというと、臼の上端の縁が少し内向きにカーブしていて搗いても実が飛び出しにくくなっています。

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篩でタネを分離する。これは現代の篩、目は2mmでした。裂いた竹で編んだ古民具の篩はもう少し目かつまっていました。

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下に落ちた中果皮に油脂分が沢山含まれている。

中果皮の粉を布に入れて蒸し器で充分蒸す。

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熱い中果皮を絞り専用の篭に入れ、木で作った楔の絞り器にセットして楔を打って油脂を絞り出す。

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楔は上が太くなっているので打ち込むほど篭が締まっていきます。それで下から蝋がたらーりと出てきます。

以前、ハゼ蝋を生産していた愛媛県の内子町民俗資料館でもっと巨大な絞り器を見たことがあります。岩手では各農家で絞っていたのでこのくらいのサイズのようです。

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木枠の内側に見える淡い緑色のすじが、たれている蝋です。結構途中で固まっている分が多い。蝋がたれたのがわかった瞬間、観客からはどよめきがhappy02

土間に切ってある穴の中に設置された木の箱に蝋が溜まりました。みなさん「緑色なんだ!」とびっくり。そう、精製する前の植物質の蝋は全部こんなきれいな薄緑色なんです。

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・・・でも沢山の実を使ってやっとこれだけか・・・

絞り終えたあとの篭。

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以上の工程でおわかり頂けたと思いますが、絞った蝋はすぐに固まり始めます。従ってこの作業はなるべく固まらないように気温の高い真夏に行われます。傍らでは蒸し器がばんばん蒸気をあげて、かたや重い木槌で力仕事、みんな汗だくです。大変な作業で絞ったから貴重な蝋なんですね。当時はものすごく高価だったとか。

私は私で絞る工程がウルシ炭化種子の形成や堆積のヒントになり、見学によって大いに成果がありました。scissors

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考古学」カテゴリの記事

コメント

へぇ~!そうなんですね。全く知りませんでした。勉強になります。有難うございます。

おはようございます。
漆の器などは好きで塗の工程などは知っておりましたが、
こうした漆からの製蝋工程は初めて拝見しました。
各所、先人たちの貴重な知恵が見られます。
淡い色がきれいですね。
暑い暑い作業だったことでしょう。でも貴重な体験をなさいましたね。

そちらは涼しくなりましたか?
お彼岸までも暑いようで、もう参っています。

漆の実、もうこうなるとかぶれないの?
漆からも蝋をとるんですね、ハゼから採るということは聞いたことがあるけど。
それにしても大変な作業ですね。

ウルシとヤマウルシは違うのですか。
以前、ウルシの実を炒ってお茶にしているのを見たことがあります。

笠ぼんさん(^_^)/
かつてウルシから蝋を絞ったということはほとんどの若い方は知らないと思います。まして、東北で漆蝋を生産していたときでも関東以西ではハゼノキから蝋を作っていましたので。

shibataさん(^_^)/
この地域では私の母くらいの年齢の方が子供の頃まで製蝋していたようです。ウルシ化石の堆積過程を読み解く上で大変参考になりました。
こちらも例年になく暑くてお年寄りが参っているようです。さすがに朝晩は涼しいのですが。

aoikesiさん(^_^)/
かぶれはどうなんでしょ? 私は大丈夫なのですが、弱い人は実でもかぶれるかもしれないですね。
上杉鷹山だと思うんですが、蝋を生産するために米沢でウルシの植栽を奨励した文書が残っています。ところが西日本でハゼ蝋を大々的に売り込んだので漆蝋は廃れてしまったという話でした。明治に入ってからもハゼ蝋は企業が大規模に生産するようになりましたが、漆蝋は東北の農家単位で細々と作られていました。

木の外見は、ヤマウルシはせいぜい8mくらいの小高木ですが、ウルシはすぐに10m以上になる高木です。葉はヤマウルシは少し短くて表に毛があり、ウルシはオニグルミくらい大きくて長く表は無毛でヤマウルシより葉に厚みがあります。ヤマウルシの果実は外側に毛が密生していて縦方向の筋が目立ちますが、ウルシの果実は無毛で光沢がありヤマウルシより少し大きいです。

浄法寺では炒った実を「ウルシコーヒー」と言ってました。飲むのは大丈夫みたいですね。

上杉鷹山は本当に優れた名君だったのですね。
米沢藩政改革のため 養蚕 織物を推奨。
置賜紬 長井紬 白鷹紬 紅花紬など 米沢藩をあっというまに東北随一の絹織物産地にしてしまいます。
さらに漆蝋まで手がけていたとは。。

なるほど・・・ウルシはこうやって出来るのですね。
ウルシの実って結構固いものなのでしょうか。臼でたたいたりしても割れないのかしら。。
ウルシ塗り、と聞きますが、どうやってこんな液体にするのか
不思議でした。やっとその行程がわかりました。でも
現代は機械がするのでしょうが・・・昔の人はすごいですね!
真夏にする仕事にしてはキツ過ぎますもの・・

うささん(^_^)/
鷹山は垣根まで食べ物で作っていたしね。
でも漆蝋はハゼ蝋におされて上手く行きませんでした。

ムーミンママさん(^_^)/
あ、漆塗の液は実ではなくウルシの幹を削って出した樹液を塗ります。
今回お見せした「実から取った油」はおもに蝋燭などで使われていましたが、現在ではウルシからはまったく作られていません。
ちょっとわかりにくかったかも、すみません。
今使われている蝋燭はほとんど南米のカルナバという椰子の実、もしくは石油から作られています。

パンフ、届きました。ありがとうございます。
ゆっくり読ませていただきますね。
ウルシ。そうでしたね。先の記事で読んだ事ありました。
大きな木に傷をつけて気長に汁を採集するのでしたね。
これは、蝋燭(ろうそく)を作るためにする工程なのでしょうか。

ムーミンママさん(^_^)/
新聞のスキャンのコピーなのでチョット見づらいですがお許しを。
そうです、今回の実験は蝋を取るための工程を再現したものです。灯りを得るためにもこれだけ大変なんですね。

あの・・・いつも思ってるんだけど、こういうのってなんか見学ツアーみたいなのがあるのですか?標高様が仕事上のおつきあいで行っているのかと思っていましたが。

写真で見てるだけでも大変な工程だとわかりますsweat01
沢山の実を使っても製品になるのは少しのようですが、大変な
作業ですね。
どうも有難う御座います。

パフクマさん(^_^)/
一般公開されているものについては、各実施団体(博物館とか埋文センターとか)のイベント実施予定で公表されています。
今回はそれにプラス大学の実習でした。私は「ウルシに関する論文を準備していていろいろなデータがほしい」と言うことをいろいろな方にお知らせしているので、こういうイベントがあると連絡して頂けます。

ふくちゃん(^_^)/
昔は衣食住、何に関しても大変な労力がいりましたね。とても体力がいりそうです。

こんにちは、標高480mさん。
漆の実でこのような事が出来るのですね~
勉強になりましたo(゚∇゚*o)(o*゚∇゚)o~♪
今日も蒸し暑いです。

おみつぼうさん(^_^)/
石油製品じゃなくてこういった植物燃料も見直されるといいですね。
今日は結局雨降らなかったですねぇ。ここも蒸し暑いです。

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